公開日:

リードタイム 同じエリアでも宿タイプによって違う

おはようございます。 とあるホテル旅館グループでエリア責任者をしているGENです。

3回目となった今回は、リードタイムについて普段から思っていることを書いてみます。

新人のレベニューマネージャーや、新しく副支配人、支配人になる方には、ぜひ知ってほしいと思います。

ホテルのリードタイムとは

新しい施設を担当するスタッフにレベニューの説明をする際や支配人と話すときに、うちのホテル(旅館)はリードタイムが長い(短い)という会話が時々あります。

ホテル業界でリードタイムといえば、「宿泊日から何日前に予約されるのか」(予約日から実際に宿泊する日までの日数)のことを言います。
ただ、先ほどの会話をするときに、宿全体としてリードタイムが長い(短い)という会話をする場合、全ての予約が同じぐらいの日に予約されるかのように話をしている方がいると、ちょっと違うと思ってしまいます。

具体的に、何が違うのかリードタイムのグラフを合わせて解説します。

 

リードタイムが短い宿の例

リードタイムが短いといってもホテルごとに、予約の入り方が違います。
そのため、価格を高めにしておく期間、下げる時期。特価価格で販売しないと満室にならないタイミングが異なります。

この記事では説明を簡略化するために、価格コントロールにはふれずに予約件数の増減でリードタイムについて解説します。

Aビジネスホテル 

リードタイムが短いビジネスホテル

 価格が安めのビジネスホテルの平日のブッキングカーブです。
このホテルの場合、平日はビジネス出張で宿泊されるお客様がほとんどです。

工事関係者の方で、長期連泊をされる方もいらっしゃいますので、3か月以上前から複数部屋を連泊予約されるお客様もいますが
ほとんどのお客様が1泊の方です。

仕事で宿泊が決まるのは、数か月前からということはあまりないので、4週間前ぐらいから徐々に予約が入ってきます。
3週間前後から予約が大きく動きます。

この例だと7日前から予約が急増し、前日・当日も予約が入ります。

※イベント会場などある地域は、特定日は数か月前から予約があるかもしれませんが。

この宿の場合、30日以上前から安売りする必要はなく、予約入り状況に気をつける(価格のコントロール)時期は21日前から。
とくに1週間前のコントロールが重要となっています。

 

B簡易宿泊施設

リードタイムがさらに短い簡易的な宿泊施設

ビジネスホテルよりさらに簡易な合宿所としても利用される簡易なホテルの平日のブッキングカーブです。
価格はとても安いですが、一か月以上前に予約されることは、ほとんどありません。

このホテルの場合、2週間前にほとんど予約が入っていない状況でも満室になります。
とくに10日前から3日前ぐらいに予約が入りやすいので、この時期は注意が必要です。

C旅館

リードタイムが短めの旅館

弊社の中で、とくにリードタイムが短い旅館の土曜日のブッキングカーブです。

リードタイムが短いと言っても、インバウンドの予約があるため、3か月以上前に少し予約が入ることもあります。

その後、4週間前にかけて、稼働率30%弱ほどの予約件数が入ります。
つまり4週間前の時点で稼働率30%を超えていたら、周りのホテルと比べて安売りをしている可能性もあるともいえます。
逆に4週間前の時点で、30%を大きく下回っていれば、価格が高すぎる可能性もあります。

9日前ごろから予約が大きく動き出します。
(前週の水曜日、木曜日)

宿泊日の3・4日にも7~9件ほど予約が入り、この例ですと前日に満室となりました。

4日前に10室ほど空室があっても、満室になるという意味ではリードタイムが短いから、直前まで値下げしなくてもよいですが、
一週間前の時点で、稼働率が約60%に達していないと、満室にならない可能性もあるので、少し値下げして販売し、予約件数が急増したら価格を戻すようなコントロールも必要になるでしょう。

リードタイムが長いホテルの例

リードタイムが長いホテルの例を紹介します。
このホテルは、2か月ほど前から予約が入り、直近には予約が入りにくいリードタイムが長い宿として弊社では言われています。

閑散期の場合


下の画像はとある閑散期の土曜日のブッキングカーブです。
約2か月前から予約が入りだして、4週間前の時点で稼働率50%ほどです。
先ほどのリードタイムが短い宿より4週間前時点で20%ほど稼働が高いです。

一週間ほど前になると2食付きプランだけでは満室にするのがはほとんど売れなくなるので、素泊まり、半泊まり(朝食付き)プランも併売して満室にしています。

リードタイムが長い宿 閑散期

繁忙日の場合

リードタイムが長い宿 繁忙日

繁忙日は3か月以上前にある程度予約が入ります。この事例だと3か月前(91日前)の時点で11室(稼働率約30%)
28日ほど前には、約60%の稼働率となっています。

ただ、2週間以内から当日の間も15室(稼働率40%相当)の予約が入っているので、リードタイムが長くても、直近に予約が入らないとはいえません。


 

ブッキングカーブから分かるリードタイム

リードタイムが短い、長いといっても何日前からどの程度の割合で予約が入るのかは、ホテルの種類や立地。
繁忙日、閑散期。平日。土曜日(休前日)で変わってきます。

単純に、リードタイムが短いから価格はギリギリまで高い状態で維持して値下げをしなくていい。
リードタイムが長いから直近は売れない。 という会話をしているようでしたら、ブッキングカーブで実際はどうなのか確認してみてはいかがでしょうか。

お客様の交通手段によってもリードタイムが変わってくると思います。
飛行機で来るお客様が多いと、直近に入る予約はとても少なく、一か月以内の予約はほとんど入らない というケースもあると思います。

ただ、いずれの場合もブッキングカーブは過去の売れ方を表しているだけで、今年はその通りの動きで動くのかは分からないという点に注意は必要です。
ですが、複数の日程のブッキングカーブを確認し、今年の売れている状況も複数日ブッキングカーブで確認すれば、昨年と同様の動きをしているのか。

昨年よりリードタイムが短め、長めなのか、傾向を知って、レベニューマネジメントの参考にできるのではないでしょうか。

ちなみにステイシーだと、日付の変更は1クリックでできて、次々に日送りができるので、複数日のブッキングカーブはすぐに確認できます。
また、今回の記事では比較対象(過去日のブッキングカーブ)を表示しない設定にしましたが、比較表示可能なので、前年同曜日と同様の傾向なのか、違う傾向なのか一目で確認も可能です。

 

リードタイムの長さによるレベニューの注意点

リードタイムが長い宿と短い宿でレベニューによる違いを解説します

リードタイムが長い場合

リードタイムが長い(予約が入るのが2・3か月以上前)だと、繁忙日の予約入り状況をこまめに確認しておかないと、いつのまにか多くの予約が入ってしまい、価格を上げるチャンスを失う可能性があります。

サイトコントローラーで日々の予約を見ていれば、同じ日程の予約が多い日をチェックすることで、安売りの失敗をある程度防ぐことができるでしょう。

ステイシーだと在庫増減表で日々(直近)の予約件数・キャンセル件数が一目で見れるので、通常より予約数が多い日からチェックすれば、レベニュー作業の時間がほとんど取れない日でも、短時間で必要な作業ができて便利です。

逆に閑散期であれば、直近に価格コントロールや安売り予約件数の増加に結び付きにくいです。
稼働を上げるためには単価アップは狙いすぎず、素泊まりのプランや特価プランを販売するなど多くのお客様にリーチして少しでも予約される可能性を高めた方がよいですね。

リードタイムが短い場合

リードタイムが短い(予約の多くが2週間以内や、1週間以内に入る)場合、レベニューの頻度を多くしないと、売れ残してしまったり、安売りしてしまうリスクがあります。
逆に3週間以上前の価格はあまり気にしなくてよいので、レベニューの時間は短くて済むかもしれません。

ただ、レベニュー担当者が1、2人と少ないと、担当者が休みの日で適切にコントローラーしていない日があると、売り上げが下がる要因となるかもしれません。
レベニューができる人の人数を増やす。簡単なルールを決めるなどして、毎日レベニューできる仕組みが必要になるでしょう。

 

リードタイムまとめ

これらの事例はとあるホテル旅館グループのリードタイムを参考に解説しました。

地域や宿、お客様の特性。プラン販売の締め時間や価格帯などで、全く違う傾向になっているホテルもあるでしょう。

ただ、どのホテルであっても、ブッキングカーブで自社の傾向を知ることで、何か気づきがあると思います。

次回のホテルマーケティングコラムもお楽しみに

前回の年末年始の売上を伸ばす

 

前々回の適正な価格コントロールをブッキングカーブから判断する もよければご覧ください

Category

カテゴリー