年末年始の売り方。宿泊 売り上げを伸ばす方法をブッキングカーブで模索する
目次
年末年始のレベニューマネジメント
年末・年始が1年で一番売り上げを多いホテルも多いと思います。
年末年始に出勤するアルバイト・パートの方には、通常より割り増しの時給を支払ったり、単価の高い派遣社員に来てもらって、大勢のお客様にご迷惑をおかけしないように対応されている旅館やリゾートホテルも多いでしょう。
苦労が多い分、売り上げをしっかり伸ばしていきたいですね。
当ホテルでも、お正月には特別なイベントや、通常より豪華なお食事を提供して、高い料金をお支払いいただいたお客様に、ご満足いただき思い出に残る旅行となるように試行錯誤しています。
この記事では年末年始の価格コントロールと、勝負をつけるタイミング(売っていくタイミング)を判断する材料として、
ブッキングカーブを使った具体的な事例を紹介します。
年末(12月31日)の価格コントロールの難しさ
1年で一番高い時期で、エリアによっては全てのホテルが満室になるところも多いと思います。
エリアが毎年満室になるエリアでは、価格を少しでも高く売りたいですが、あまり高く設定して空室が多い状況で年末が近づくと、高い料金で宿泊いただけるお客様が少なくなってしまい、安く売らないといけないリスクもあります。
空室や安売りをして埋めることになるリスクを怖がって、あまり値段を上げずに販売していると、早々に満室になってしまう可能性もあります。
そうなると、お客様から空室の電話問い合わせを数多く受けないといけなくなるのも、業務負担が増えますし、価格を上げて売り上げを伸ばすチャンスを失った可能性もありますね。
年末のレベニュー失敗事例 旅館
旅館の12月31日の販売数のブッキングカーブです。
昨年は満室になりました。一昨年前は当日にキャンセルが出た分を埋め切れずに3室空室を出していましたので、稼働率という意味では、しっかり満室にしています。
26日前に一度満室になっていますが、12日前にかけて9室キャンセルが出ました。
これは周辺の当館より安い価格帯のホテルもキャンセルが出たタイミングでそちらに流れた分と、当館より人気のホテルで早々と満室になっていたホテルのキャンセルが出て、そちらに流れた予約があったと考えています。
キャンセルが出たタイミングで周辺ホテルの空室数が多かったこともあり、価格をかなり下げて売った後、価格を当初販売価格の半額程度にし、前日、当日は再び下げて、なんとか満室にしました。
この日の宿泊売上としては、過去最高を更新。昨年比 約130%という結果だったので、成功と言ってもよいですが、一週間前になって動く客を狙ってもう少し高い価格で待ってもよかったかもしれません。
年末のレベニュー失敗事例 ビジネスホテル
こちらは売上が1年前比 約45%(約65%売上ダウン)と大失敗だったホテルの販売数です。
価格の安いビジネスホテルということもあり
予約が入り始めるのは普段の平日だと3週間前で、前日・当日にも予約が入るリードタイムが短めのホテルです。
新人レベニューマネージャーが陥りがちな、高く売れる日に、売れる価格帯より高く設定した状態をキープして空室が多い状況で、直近になり急激に価格を下げて満室にした事例です。
ブッキングカーブを見ると、2か月前の段階で1年前は5室売れていましたが、この年は1室しか売れていない状況でした。
一か月前になり4室売れていましたが1昨年は7室。少し販売数が少ないぐらいの状況です。
17日前になりキャンセルが出て、2室しか売れていない状況に(残室数19)
3日前と2日前で大半の在庫を売って前日に満室となりました。
単価のコントロールですが、45日前から一か月前にかけて、前年より約35%高く設定していました。
25日前後では、前年より約20%高く設定していました。
2週間前に前年と同価格に。その後、前年より40%安く販売。最終的には一番高く売っていた日より60%安くして満室にしていました。
販売数と単価のカーブの結果論から言えることは、年末の予約の入り始めは通常より3週間以上早いので、そのタイミングで市場に合わせた価格に合わせて、販売数を増やすことを狙い。ある程度稼働が上がってから、単価を上げるか、維持して売り切るような判断をすると売り上げが伸ばせた可能性があります。
年末のレベニュー成功事例? 旅館
この旅館の事例は、過去最高だった2022年の売上から2023年には140%アップさせた事例です。
前年は10月の3連休のころから年末の予約が急増。その後 予約があまり入らず、最後の2週間で満室近くにしたものの満室にはなりませんでした。
この年は、50日前の11月10日ごろには満室に。
一か月前にキャンセルが数件出て、2週間前に周辺の宿のキャンセルやアロットメントの返室による在庫増加分により、周辺の宿に流れるキャンセルもありましたが、満室にできました。
単価を見ると、予約が増加する80日前(10月の3連休)付近では単価を30%以上上げたことで、予約の急増を抑制し、客単価を上げることに成功しました。
予約が鈍化したタイミングで価格を下げて、販売数を伸ばし、伸びてきたタイミングで少し単価を上げる。ゆるやかなコントロールを行い最後の数室は安く販売して満室にしました。
年末年始の価格コントロール まとめ
3館のホテルの事例のように、価格を上げるタイミング、下げるタイミングによって、年末の売上額が1.4倍やそれ以上に増やすこともできますし、半分以下の売上になる可能性もあります。
年末は金額が大きいので、レベニューを細かくチェックされていると思いますが、ブッキングカーブを使うことで次のことに役立ちます
・予約タイミングにより、どの価格帯で売れたのか
・直近に売れ残すと、どこまで下げないと満室にならないのか
・昨年よりオンハンドの売上・販売数が伸びているのか、伸びていないのか?
次回のホテルマーケティングコラムもお楽しみに
前回の安い・高すぎる?価格の判断をブッキングカーブを使って行ってみた もよければご覧ください