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ホテルのインバウンド戦略|成功のための施策を考える

はじめに

日本国内の人口減少傾向が続く中、ホテル・旅館業界にとってインバウンド需要の取り込みは大きなチャンスとなっています。日本文化への高い関心を持つ外国人観光客を惹きつけるためには、多言語対応やキャッシュレス決済の導入など、受け入れ体制の整備が不可欠です。本記事では、インバウンドの現状と見通し、またホテル・旅館が取り組むべき具体的な対策方法を考えます。

1.インバウンドの現状と見通し

1-1.インバウンドの定義

インバウンドとは、海外から日本へ訪れる旅行および訪日外国人旅行者を意味します。つまり、日本の観光業界にとって、インバウンドは重要なターゲットのひとつとなります。

近年、インバウンド需要は国内人口の減少傾向とは対照的に、着実に増加してきました。ホテル・旅館業界にとって、インバウンド対策は喫緊の課題となっています。

1-2.訪日外国人旅行者数の推移と現状

新型コロナウイルスの感染拡大による影響が大きかった2020年の訪日外国人旅行者数は、前年比87.1%減の約411万6,000人でした。しかし、2023年には、約2506万人が日本を訪れるまでに回復しています。水際対策の緩和と円安の影響により、インバウンド需要は徐々に増加しています。

1-3.ポストコロナ時代のインバウンド需要予測

ポストコロナ時代のインバウンド需要は、着実に復調していくと予測されています。アジア・欧米・オーストラリア在住者を対象とした調査では、日本は訪れたい国として高い人気を誇っています(出典:公益財団法人 日本交通公社『DBJ・JTBF アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査(第3回 新型コロナ影響度 特別調査)』)。

また、国内人口の減少傾向を考えると、インバウンド需要の取り込みは、ホテル・旅館業界の生き残りのカギを握ると言っても過言ではありません。2021年10月時点の国内人口は、1億2,550万2千人と前年比64万4,000人減少しており、1950年以降で過去最大の減少幅となっています(出典:総務省統計局『人口推計』)。

1-4.日本文化の魅力とインバウンド需要の関係

訪日外国人旅行者が日本に期待することの上位には、「日本の食事」(64%)や「温泉」(45%)などの日本文化が挙げられています(出典:国土交通省『外国人旅行者のニーズ把握調査』)。これは、日本文化の魅力がインバウンド需要を牽引していることを示唆しています。

さらに、地方のホテル・旅館が地元の魅力を積極的に発信することで、地域経済の活性化にもつながります。インバウンド対策は、地方創生の観点からも重要な取り組みと言えるでしょう。

2.ホテル・旅館におけるインバウンド対策の重要性

2-2.国内人口減少による宿泊需要の変化

先述のとおり、日本の人口は、2021年10月時点で1億2,550万2千人となり、前年比で64万4,000人減少しました。これは1950年以降で過去最大の減少幅です。国内人口の減少傾向は、ホテル・旅館業界にとって大きな課題となっています。

人口減少に伴い、国内の宿泊需要も変化しつつあります。今後は、インバウンド需要の取り込みが、ホテル・旅館の収益拡大に欠かせない要素となるでしょう。

2-3.インバウンド需要取り込みによる収益拡大の可能性

2022年からの水際対策緩和と円安の影響により、インバウンド需要に復調の兆しが見えています。公益財団法人 日本交通公社の調査によると、日本はアジア・欧米・オーストラリア在住者から訪れたい国として高い人気を集めています。

また、国土交通省の調査では、外国人旅行者が旅行出発前に期待していたことのトップ2が「日本の食事」(64%)と「温泉」(45%)でした。日本文化の魅力を活かしたサービス提供により、インバウンド需要の取り込みと収益拡大が期待できます。

2-4.地方創生とインバウンド観光の相乗効果

インバウンド対策は、地方創生にも貢献します。地方のホテル・旅館が、地元の魅力を外国人旅行者に発信することで、地域経済の活性化につながります。地方自治体と連携し、地域の観光資源を活用したプロモーションを行うことで、インバウンド観光と地方創生の相乗効果が期待できるでしょう。

2-5.訪日外国人旅行者のニーズと期待

効果的なインバウンド対策を行うには、訪日外国人旅行者のニーズと期待を理解することが重要です。観光庁の『訪日外国人旅行者の受入環境整備に関するアンケート』では、外国人旅行者が「公共交通機関の利用」や「観光情報の入手」に不便を感じていることが明らかになっています。

ホテル・旅館は、多言語対応の印刷物やシステム・ツールを準備し、外国人旅行者の利便性を高める必要があります。また、キャッシュレス決済の導入や、外国語対応可能な人材の配置も求められています。

さらに、インバウンド向け宿泊プランの設計や、ホテル公式サイト・予約サイトの見直しも重要です。日本と海外の予約の考え方の違いに注意し、食事付きプランの明確な説明を心がけましょう。

訪日外国人旅行者のニーズと期待に応えることで、リピーターの獲得やポジティブな口コミの拡散につながります。このようなインバウンド対策が、ホテル・旅館の長期的な成長に欠かせない取り組みとなるかもしれません。

3.インバウンド対策の具体的な方法

3-1.多言語対応の強化

インバウンド需要を取り込むためには、ホテルにおける多言語対応が不可欠です。海外からのお客様が快適にホテルを利用できるよう、多言語対応の自動チェックイン機やタブレットによる案内といったシステムやツールの導入を検討しましょう。これらのツールを活用することで、スムーズなチェックインとチェックアウトが可能となり、言語の壁を感じさせない対応が可能になります。

また、パンフレット、メニューなどの印刷物についても多言語対応が重要です。館内の施設案内においても、英語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語を中心とした多言語対応の印刷物を準備することで、お客様の満足度向上につながるでしょう。

3-2.キャッシュレス決済の導入

インバウンド対策として見逃せないのが、キャッシュレス決済の導入です。特に、PayPalは200国以上、4億人以上の利用者を抱える世界的な決済サービスとして知られています。ホテルにおいてもPayPalなどの事前決済システムを導入することで、外国人旅行者の利便性が大幅に向上します。

さらに、昨今の新型コロナウイルス感染症の影響により、非接触・非対面対応へのニーズが高まっています。キャッシュレス決済の導入は、このようなニーズにも応えることができるでしょう。お客様の安全・安心を確保しつつ、スムーズな決済を実現するために、キャッシュレス化は欠かせない取り組みといえます。

3-3.外国語対応可能な人材の確保と育成

システムやツールの整備と並行して、外国語対応可能な人材の確保と育成にも力を入れる必要があります。優先すべき言語は、英語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語ですが、他の言語についても、ターゲットとする国や地域に応じて柔軟に対応していくことが求められます。

外国語スキルを持つスタッフを採用するだけでなく、既存のスタッフに語学研修を提供することも効果的でしょう。語学力の向上は、外国人旅行者とのコミュニケーションを円滑にするだけでなく、スタッフ自身のモチベーションアップにもつながります。長期的な視点で人材育成に取り組むことで、インバウンド対応力の強化につながるでしょう。

3-4.インバウンド向け宿泊プランの設計

インバウンド需要を取り込むためには、外国人旅行者のニーズに合わせた宿泊プランの設計が欠かせません。日本と海外では、宿泊プランの予約に対する考え方が異なることに注意が必要です。日本では「プラン」を選ぶことが一般的ですが、海外では「部屋」を借りるという認識が強いのです。

特に、食事付きプランについては、料理の内容や提供方法を明確に説明することが重要です。写真や多言語での説明を用意することで、外国人旅行者にプランの魅力を効果的にアピールすることができるでしょう。また、ベジタリアンやハラル対応など、多様な食のニーズにも柔軟に対応できるよう準備しておくことが求められます。

3-5.HPとSNSを活用した情報発信

インバウンド対策において、HPやSNSを活用した情報発信は非常に重要です。なかでも、インスタグラムは写真メインのSNSとして、ホテル・旅館業との親和性が高いといえるでしょう。インスタグラムを活用することで、ホテルの魅力を視覚的に訴求し、外国人旅行者の関心を引き付けることができます。

ただし、言語の壁を乗り越えるためには、投稿内容の多言語化が不可欠です。DEEPLなどの翻訳ツールを活用し、英語や中国語などへの翻訳を行いましょう。正確で魅力的な情報発信は、外国人旅行者のホテル選びに大きな影響を与えるはずです。HPやSNSを戦略的に活用し、インバウンド需要の取り込みを図っていきましょう。

3-6.ホテル公式サイトと予約サイトの最適化

最後に、ホテル公式サイトと予約サイトの最適化についてお話しします。インバウンド需要を取り込むためには、外国人旅行者が利用しやすいウェブサイトの構築が欠かせません。特に公式サイトについては、多言語対応が必須です。英語、中国語、韓国語など、主要言語でのサイト構築を進めましょう。

また、予約サイトについても、外国人旅行者に利用されるサイトを中心に登録を行うことが重要です。Booking.comやExpediaなど、グローバルに展開する予約サイトへの登録は、インバウンド需要の取り込みに大きく貢献するでしょう。予約サイト上でも、多言語での情報発信を心がけることが求められます。

さらに、多言語対応のチャットボット導入も検討に値します。Talkappiなどのサービスを活用することで、Facebook、WeChat上で外国人旅行者からの問い合わせに自動で対応することが可能です。公式サイトと予約サイトの最適化は、インバウンド対策の要といえるでしょう。

インバウンド需要を取り込むためには、多角的なアプローチが求められます。本記事で紹介した具体的な方法を参考に、自館の強みを生かしたインバウンド対策を進めていきましょう。外国人旅行者のニーズを的確に捉え、満足度の高いサービスを提供することが、インバウンド需要の獲得につながるはずです。

4.インバウンド対策に役立つツールと技術

4-1.多言語対応システム

自動チェックイン機やタブレットによる案内など、多言語対応システムの導入は、外国人観光客の利便性向上に大きく寄与します。これらのシステムにより、フロントでのやり取りがスムーズになり、言語の壁によるストレスを軽減できます。

4-2.翻訳ツール

ホテルの公式サイトやSNSでの情報発信は、インバウンド集客に欠かせません。しかし、言語の壁が障壁となることも。そこでおすすめなのが、DEEPLなどの翻訳ツールです。

これらのツールを活用することで、英語や中国語など、主要な言語への翻訳が容易になります。機械翻訳の精度は年々向上しており、ある程度の品質は期待できるでしょう。ただし、完璧な翻訳は難しいため、ネイティブチェックを行うこともおすすめします。

4-3.チャットボット

多言語対応のチャットボットを導入することで、外国人観光客からの問い合わせに24時間365日対応できるようになります。チャットボットなら、よくある質問への回答を自動化できるため、スタッフの負担軽減にもつながります。また、チャットの履歴を分析することで、外国人観光客のニーズや課題を把握し、サービス改善に役立てることもできるでしょう。

4-4.SMS送信ツール

外国人観光客とのコミュニケーションを円滑に行うためには、SMS(ショートメッセージサービス)の活用も有効です。StayseeのSMS送信ツールなら、携帯電話の番号のみで海外のお客様にも連絡が可能です。予約確認やアンケートの送信など、様々な用途で使えます。

SMS送信ツールを使えば、お客様とのやり取りの手間を大幅に削減できます。また、事前にメッセージを用意しておけば、言語の壁を気にせずコミュニケーションが取れるのも大きなメリットと言えるでしょう。

インバウンド対策に取り組むことは、ホテル業界の発展に欠かせません。本記事で紹介したツールや技術を駆使し、外国人観光客に選ばれるホテルを目指しましょう。きめ細やかなおもてなしと、言葉の壁を越えたコミュニケーションが、リピーターの獲得につながるはずです。

まとめ

日本のホテル・旅館業界にとって、インバウンド需要の取り込みは大きなチャンスです。2022年の水際対策緩和と円安の影響で、訪日外国人旅行者数は回復の兆しを見せ始めました。日本文化の魅力を活かし、多言語対応やキャッシュレス決済の導入など、受け入れ体制の整備が鍵となります。また、インバウンド対策は地方創生にも貢献します。ホテル公式サイトやSNSでの情報発信、翻訳ツールやチャットボットの活用など、技術を駆使した多角的なアプローチが求められます。変化する時代のニーズを捉え、外国人旅行者の満足度向上に尽力することが、ホテル・旅館業界の発展につながるでしょう。

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StayseeのSMS送信ツールは、宿泊施設がお客様の携帯電話に直接メッセージを送信できる便利な機能です。予約確認から口コミ依頼まで、様々な用途に活用でき、顧客対応の効率化と満足度向上に貢献します。

インバウンド対策として活用する場合、言語の壁を越えてスムーズにコミュニケーションを取ることができます。例えば、海外からのお客様に対して、予約確認や到着前の案内、施設のサービス情報などを、SMSを通じて直接送信できます。これにより、外国人観光客の不安を軽減しつつ、おもてなしの質を高めることができるでしょう。まずは無料トライアルをお試しください。

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