OCC(客室稼働率)とは?稼働率を上げる方法

目次
OCC(客室稼働率)とは
宿泊施設の収益性や運営効率を測るための重要な指標で、利用可能な客室のうち実際に利用された割合を示します。
この指標は、ホテルや旅館、リゾート施設などの運営状況を定量的に把握するために活用され、経営者やマーケティング担当者が意思決定を行う際に欠かせません。
客室稼働率の計算
項目 | 値 |
---|---|
計算式 | (販売された客室数 ÷ 利用可能な客室数)× 100 |
利用可能な客室数 | 100室 |
販売された客室数 | 50室 |
稼働率 | 50% |
100室の客室のうち、50室が利用された場合、(50÷100)×100で客室稼働率は50%となります。
客室稼働率の必要性
1. 収益最大化のための基盤
- 直接的な売上向上:稼働率が高いほど売上が増加します。
- 固定費の効率的な分担:人件費や施設維持費などの固定費を、多くの客室利用者で分担でき、1室あたりのコストが低下し、利益率が向上します。
2. 収益管理(Revenue Management)の要
- 価格戦略の最適化:
- 需要に応じて価格を柔軟に調整(例:繁忙期は高価格、閑散期は割引)し、稼働率を維持しながら平均単価(ADR)を最大化します。
- 需要予測の精度向上:
- 過去の稼働率データから需要パターンを分析し、マーケティングや人員配置を最適化します。
3. 市場競争力の評価指標
- 需要の把握:高稼働率は「市場ニーズに合致している」証拠となり、立地・サービス・価格設定の適正性を示します。
- 競合分析:同地域の他ホテルとの稼働率比較を通じ、自社の競争力を客観的に評価できます。
4. 戦略的意思決定の根拠
- 投資判断:継続的な低稼働率は「施設の老朽化」「価格設定の不適切さ」などの問題を示唆し、改修や戦略転換の必要性を判断する材料となります。
- マーケティング効果の検証:
- プロモーション実施後の稼働率変化から、施策の効果を即時に測定できます。
5. 季節変動への対応
- 閑散期の稼働率向上策(例:ビジネス客向けプラン、イベント連動企画)や、繁忙期の収益最大化策を立案する際の基準となります。
客室稼働率の目安
客室稼働率の適正値は、施設の種類、立地、ターゲット市場、地域の競合状況によって大きく異なります。
以下に、主な施設タイプごとの目安を示します。
1. 都市型ホテル
目安:80%~90%
都市部に位置するホテルは、主にビジネス客や観光客をターゲットにしています。平日と週末で需要の差はありますが、安定した需要が見込まれるため、高い稼働率を目指す必要があります。
2. リゾートホテル
目安:60%~80%
リゾートホテルは、季節的な需要に依存する傾向があります。繁忙期には高い稼働率を維持できますが、オフシーズンにおいてはプロモーションやイベント企画がカギとなります。
3. ビジネスホテル
目安:85%前後
シンプルで効率的なサービスを提供するビジネスホテルは、ビジネスパーソンを中心に安定した利用が期待されます。特に出張需要が多い都市や駅近のホテルでは高い稼働率を達成しやすいです。
4. 旅館
目安:50%~70%
旅館は、地域の特性を活かした宿泊体験を提供し、観光客やファミリー層を中心に需要を獲得しています。ただし、リゾートホテル同様、季節的な変動が稼働率に影響を与えやすいです。
5. 宿泊特化型施設(ゲストハウスなど)
目安:50%~70%
個人経営や小規模の宿泊施設は、マーケティングやリピーターの獲得が課題となります。そのため、エリアの需要特性を把握し、プロモーション活動が不可欠です。
室数が少ない宿の場合、1件予約が増えるだけで稼働率が大きく上がるので、1件1件を丁寧に売り、キャンセルが出たときは価格の見直しも含め、機会ロスを最小限に抑えることで売上を伸ばしやすいでしょう。
客室稼働率(OCC)アップのための基本施策
1. ダイナミックプライシングの導入
- 需要に応じた価格設定を行い、空室を減らし収益を最大化。
- 繁忙期:イベント時に料金を引き上げて収益を確保。
- 閑散期:割引プランを提供して宿泊を促進。
- ポイント:予約データや地域イベント情報を基に価格調整を実施。
2. OTA(オンライン旅行代理店)の活用
- OTA限定の特別プランを提供して予約数を増やす。
- 口コミの投稿を促進し、施設の信頼性を向上。
- 公式サイト予約への誘導も工夫し、手数料を削減。
3. 公式サイトとSNSを活用した直販強化
- 公式サイト予約限定特典(朝食無料、レイトチェックアウト)を提供。
- SNSで魅力的な写真や動画を投稿し、施設の認知度を向上。
- キャンペーンやクーポンを活用してエンゲージメントを高める。
4. ターゲット層に応じたプランの開発
- ビジネス層向け:デイユースプランや連泊割引。
- 観光客向け:観光地チケット付きプランや体験型パッケージ。
- 家族連れ向け:キッズアメニティやファミリールーム特典。
- 季節やイベントに合わせた特別プランを企画。
5. 地域連携とプロモーション
- 地元の飲食店や観光地と提携し、宿泊パッケージを提供。
- 地域イベント(花火大会、紅葉ツアーなど)と連動した宿泊プランを企画。
- 「ここでしか体験できない価値」を提供してリピーターを増やす。
6. リピーター獲得の仕組み作り
- ポイントカードや会員特典を導入し、再訪のメリットを明確化。
- 宿泊履歴を活用し、記念日や誕生日に特別なオファーを送る。
- フォローアップメールで次回利用を促すキャンペーンを展開。
7. サービス品質の向上
- 客室や施設を徹底的に清掃し、清潔感を維持。
- スタッフ教育を強化し、迅速かつ親切な対応を徹底。
- お客様の声をフィードバックに活用し、サービス改善を図る。
8. マーケティングの強化
- Google広告やSNS広告でターゲット層にアプローチ。
- インフルエンサーや旅行ブロガーを活用して施設の魅力を発信。
- 地元メディアで特集を組み、地域での認知度を向上。
最後に
客室稼働率を上げるには、価格戦略、販路拡大、顧客満足度の向上、地域との連携が重要です。
ターゲット層に合わせた施策を組み合わせ、施設の魅力を最大限に活かすことが稼働率向上のカギです。

- ステイシーのコールセンターを担当しているメンバーたちで、記事を書いています。ホテル・旅館のみなさまに役立つ情報を発信していきますので、よろしくお願いいたします。
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