ホテル・旅館のセルフチェックインとは?導入からメリット・デメリットまで解説
目次
はじめに
本記事では、セルフチェックインの概要や、自動精算機との違いについて解説します。また、主な機能・利用方法・メリット・デメリットについても解説しているため、セルフチェックインシステムの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。 昨今、ホテルや旅館で注目されている「セルフチェックイン」とは、その名の通り、ゲスト自身がチェックイン手続きを行うことです。
「セルフチェックインとは、どのような仕組みなのだろう……」
「セルフチェックインシステムを導入することで、業務効率化を実現できるのかな……」
上記のように疑問を抱いている方は少なくないのではないでしょうか。 そこで本記事では、セルフチェックインの概要や、自動精算機との違いについて説明します。セルフチェックインシステムの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
セルフチェックインとは?
セルフチェックインとは、これまでホテルや旅館のフロントで行っていた、チェックインやチェックアウトの手続きを、端末やモバイルを利用してゲスト自身が行える仕組みです。 セルフチェックインシステムの導入によって得られるメリットは以下のとおりです。
ホテル側:コストの削減・業務の効率化
ゲスト側:チェックイン・チェックアウトがスムーズに
また、製品・サービスによっては、セルフチェックインにはルームキーや精算機の機能を搭載している場合もあります。 そのため、セルフチェックインシステムを導入することにより、業務の効率化と顧客のストレス軽減を同時に実現できる可能性があります。
セルフチェックインシステムの種類
セルフチェックインシステムの種類は、大きく分けると4つあります。 機能や特徴にあったセルフチェックインシステムを選ぶことで、業務効率化や利便性向上などのメリットを最大限に生かせるため、どのようなタイプのセルフチェックインシステムがあるのかを理解しておきましょう。
ホテル管理システム一体型
ホテル管理システム一体型は、ホテル管理システムに、「チェックイン・チェックアウト機能」が搭載されているセルフチェックインシステムです。 ホテル管理システム一体型の場合は、予約・客室管理・売上管理などを一元化できるため、チェックインの効率化だけでなく、その他業務もあわせて効率化できます。 予約管理や売上管理など、個別にシステムを導入しなくてもよくなるため、管理の担当者の手間も軽減されるでしょう。 ホテル管理業務全体を改善したい施設におすすめのタイプです。
チェックイン特化型
チェックイン特化型は、チェックインに特化したタイプのセルフチェックインシステムです。 チェックイン特化型には、ホテル管理システム一体型のように、多彩な機能は搭載されていません。 しかし、操作がシンプルで分かりやすいため、ホテル側・ゲスト側のどちらも、手軽に利用できる点が魅力です。 ホテル側がゲストにカギを渡すか、キーコードを伝えるだけでゲスト自身でチェックイン手続きができます。
キーボックス型
キーボックス型は、鍵の受け渡しに特化したタイプのセルフチェックインシステムです。 ゲストが、自分のスマホやタブレット端末などを使用して事前に手続きをすることで、客室の鍵を受け渡しできる仕組みになっています。 鍵の受け取りは、以下の方法で行われます。
専用のキーボックスをホテル内に設ける
駅やコンビニなどの鍵受け取りサービスを使用する
スマホアプリなどで暗証番号を発行する
なお、キーボックス型の中には、鍵を取り出した日時や返却した日時をリアルタイムで確認できる機能が搭載されているものもあります。 そのため、宿泊施設側がチェックイン・チェックアウトの時間を、リモートで管理することも可能です。たとえば「Keeyls」が提供する「KEY STATION」などのシステムもこのタイプにあたります。鍵の受け取り用のボックスを設置する形式を採るので、シリンダーキーなどの物理キーで鍵を運用されている施設でも利用可能です。
精算機一体型
精算機一体型は、チェックインから精算までを自動化できるタイプのセルフチェックインシステムです。 現金やクレジットのほか、QRコードでの支払いに対応しているシステムもあります。 精算機一体型のセルフチェックインシステムを使用すると、チェックインやチェックアウトと同時に精算ができるため、よりスムーズな手続きが可能です。 パスポート読み取り機能や、外国語表示など、インバウンドに対応した機能を搭載しているセルフチェックインシステムもあります。たとえば、「アルメックス」が提供するキオスク端末などで採用されています。
セルフチェックインシステムの主な機能
セルフチェックインシステムのメインの機能はチェックインとチェックアウトを行うことですが、システムによってはさまざまな便利機能を搭載しています。 サービス向上や業務効率化を実現する、セルフチェックインシステムの機能の数々をご紹介します。
チェックイン・チェックアウト
チェックイン・チェックアウトは、セルフチェックインに不可欠な機能です。フロントに備え付けの端末での操作や、 スマホやタブレットに入っているアプリの操作によって入退室の管理ができます。 利用当日まで予約状況を照会でき、チェックインの際に鍵の受け取りができる機能も備えています。 スムーズにチェックイン・チェックアウトを行うためには、手軽に操作できて使いやすいシステムを選ぶことが重要です。
宿泊者情報の入力と名簿作成
セルフチェックインシステムには、顧客名簿の保存機能を搭載しているものが多いです。チェックイン後には、 システム上に入力された内容、たとえば顧客の氏名や電話番号などのデータを自動で台帳に登録・保存することができます。 そうして蓄積されたデータは、以下のような活用も可能です。
顧客名簿リストとしてDMやお礼メールの送付先リスト
リピート利用時に顧客情報の入力の手間軽減
利用者の地域や属性などのマーケティングデータとしての活用
本人確認
セルフチェックインシステムの中には、本人確認機能を搭載したものもあります。 セルフチェックシステムで本人確認ができれば、受付業務を簡略化できます。 本人確認の精度によっては、受付の無人化も実現できるでしょう。
パスポートデータの取得
パスポートデータの取得機能がついている場合は、パスポートをスキャンしてデータを取得できます。 従来は、パスポートをお預かりしてコピーした用紙を保管する必要がありましたが、セルフチェックインシステムでパスポートデータを取得すれば、そのような手間もかかりません。 また、パスポートの確認時間を削減することは、外国人の利用者にとっては不安の軽減にもつながります。 なお、日本国内に住所がない外国人が宿泊する場合は、パスポートの写しと宿泊者名簿を3年間保存しなければなりません。 紙にコピーして保管する場合は、保管場所の確保や紛失をしないように注意する必要があります。 しかし、セルフチェックインシステムでデータを取得した場合は、保管場所や紛失の心配がいりません。
鍵の受け渡し
セルフチェックインシステムには、鍵の受け渡し業務を簡略化する機能もあります。 ナンバーキーの発行やスマートロックと連携することで、スタッフが直接対応しなくとも、鍵を渡すことが可能です。 なお、カードキーや暗証番号キーではなく、シリンダーキーの場合でもセルフチェックインを行えます。 セルフチェックインシステムに対応するために、シリンダーキーをカードキーやナンバーキーに替える必要はありません。
決済機能
決済機能を搭載したセルフチェックインシステムもあります。 現金・クレジットカード・QRコードなど、システムによってさまざまな決済方法を選べます。ゲストが部屋で食事を取ったり、館内でお土産を購入したりするケースが想定される場合には、チェックアウト時の精算も可能な端末の導入を検討するか、決済方法やゲストへの案内方法などを事前に決定しておきましょう。
セルフチェックインシステムのメリット
セルフチェックインシステムを導入する際には、事前にどのようなメリットが得られるのかをイメージされることをおすすめします。 メリットから逆算して必要な機能やサービスを考えると、業務効率化・顧客満足度向上などの効果を大きくできるでしょう。 この章では、5つの項目でメリットをご紹介します。 【訴求リンク】
生産性の向上
セルフチェックインシステムの導入によって宿泊者情報の入力作業や接客の時間を削減することで、従業員の労働力を有効活用できます。
残業時間の短縮による経費削減
空いた時間でDM送付や物販の強化にあてることによる売上の向上
顧客満足度向上によるリピート率の増加
これらによって、ホテルの生産性向上につなげられるでしょう。
人材不足解消
セルフチェックインシステムを導入し、フロント業務に従事する人員を減らすことで、人材不足の解消にも役立ちます。 業務の負荷を軽減することで、人員を減らしながら、よりきめ細やかなサービスを実現することも可能です。 長期的に見れば、業務量の軽減により働きやすい環境が確保されることで、スタッフの定着率が高まり、採用や教育にかける手間や費用の軽減にもつながります。
ゲストの待ち時間短縮
フロントでの待ち時間短縮により、ゲストがスムーズに部屋に入室できるようになります。 待ち時間を短縮することは、おもてなしにもつながります。 セルフチェックインシステムを導入すれば、到着後すぐにお部屋に案内可能となるため、長旅で疲れているゲストにとってもメリットになることでしょう。
多言語対応が可能
多言語に対応しているセルフチェックインシステムの場合は、ゲスト情報の確認や、パスポートデータの取得がさらにスムーズになります。 わざわざ多言語化対策を行わなくても、「ある程度、英語が話せれば問題ないのでは?」と思う方もいるでしょう。 しかし、外国からの観光客全員が、英語を話せるわけではありません。 訪日外国人への対応力をアップするためにも、多言語に対応したセルフチェックインシステムを導入することも検討材料のひとつになります。
感染症対策として
セルフチェックインシステムを導入することで、施設のスタッフとの接触を減らしつつ、チェックイン・チェックアウト対応が可能になります。 そのため、感染症対策としてもおすすめです。
セルフチェックインシステムのデメリット
セルフチェックインシステムには多くのメリットがありますが、デメリットがないわけではありません。 いったんシステムを導入するとキャンセルをしたり、ほかのシステムに入れ替えたりすることが難しい場合があるため、事前に確認しておきましょう。
導入コストがかかる
セルフチェックインシステムの導入や、端末設置の際に、コストがかかる点はデメリットといえるでしょう。 なお、セルフチェックインシステムの種類によっても、導入コストは変わります。 例えばタブレット型システムの場合は、比較的安価で導入できるものの、自動チェックイン機や精算機タイプの場合は、1台あたり数百万円のコストがかかることがあります。
問題発生時すぐに対応できない
セルフチェックインシステムにトラブルが生じた時に、すぐに対策ができない場合があります。 特に、社内にシステムやインターネット関連の知識が豊富なスタッフがいない場合は、システムの提供会社が対応するまで復旧できないことも考えられます。 トラブル時を事前に想定して対策を考えておくことや、サポート体制の整った業者に依頼することなども重要です。
セルフチェックインの利用方法
セルフチェックインシステムの導入によって効率化できるかを判断するには、具体的な使用方法を確認することも重要です。 この章では、セルフチェックインの具体的な方法をご紹介します。
予約照会
セルフチェックインをゲストが利用する際に、最初に行うのは予約照会です。 予約時に発行された予約番号やQRコード、名前を入力するか、会員カードを読み取ると、「いつ、どの部屋を、どのプランで予約中なのか」を確認できます。 ホテル側は、ゲストからの予約内容確認の問い合わせにかかっていた時間を軽減できます。
宿泊者情報の確認
予約情報照会時に、予約者の氏名・電話番号・住所を確認したり、変更内容を入力できたりします。 外国人のゲストが多い場合は、パスポートの読み取りも可能なシステムを選びましょう。
お支払い
支払い機能を搭載しているセルフチェックインシステムもあります。 システムにもよりますが、主に、現金・クレジットカード・QRコードが選択可能です。 支払いを自動化することで、ゲストはスムーズなチェックインが可能になります。 ホテル側は確実に料金を回収できるほか、計数ミスの低減、フロントの省人化を実現できるでしょう。
鍵の受け取り
カードキーを発行できるシステムでは、複数の宿泊者がいる場合は、複数枚発行できます。 シリンダーキーなど、機器での受け渡しが難しい場合は、フロントにて受け渡しを行うとよいでしょう。また、キーボックス型の鍵管理システムの導入を検討されるのもよいでしょう。
まとめ
セルフチェックインシステムの導入により、チェックイン・チェックアウトをはじめとするフロント業務の省人化・コスト削減が期待できます。そのためには、施設の設備やユーザー層、導入コストや操作感など、多角的な視点から施設に合ったセルフチェックインシステムを選びましょう。またセルフチェックインシステムの導入によって得られるメリットを最大限に活かして、施設としてのおもてなし力を向上させましょう。